日本国内のAI検索シェア率を4つの調査データで比較 — 計測手法別の違いと読み方

「ChatGPTのシェアは67%」「いや80%だ」「いやいや36%だ」——同じ日本国内のAI検索シェアについて語っているはずなのに、調査によって数字がここまで異なる。にもかかわらず、多くの記事は1つの調査データだけを取り上げ、あたかもそれが唯一の真実であるかのように紹介している。

本稿では、日本国内のAI検索シェアに関する4つの主要な調査データを全て開示し、それぞれの計測手法・限界・バイアスを一つずつ解説する。その上で、「結局どの数字を信じればいいのか」という問いに対する弊社の見解を述べる。

結論を先に言えば、どの数字も「嘘」ではない。ただし、どの数字も「真実の一面」でしかない

4つの調査データを並べてみる

まず、日本国内のAI検索シェアに関して信頼性が確認できる4つの調査を、加工せずそのまま並べる。

調査元 時期 ChatGPT Gemini Perplexity Copilot
StatCounter 2026年2月 67.5% 17.7% 6.2% 7.0%
IM社 2025年7月 76.6% 8.7% 13.8%
MMD研究所 2025年11月 80.6% 50.8% 4.9% 39.1%
ICT総研 2026年2月 36.2% 25.0% 13.3%

ChatGPTのシェアだけを見ても、36.2%から80.6%まで、実に2倍以上の開きがある。Geminiに至っては8.7%から50.8%まで約6倍の差がある。同じ「日本国内のAI検索シェア」を語っているのに、なぜこれほどまでに違うのか。

なぜバラバラなのか — 「何を測っているか」が全く違う

答えはシンプルだ。4つの調査は、そもそも「測っているもの」が全く異なる

StatCounter — 「AIから他サイトへの送客量」

StatCounterは、世界中の150万以上のWebサイトに設置された計測タグのデータ(月間50億ページビュー以上)を基に、各AIチャットボットから外部Webサイトへ送られたトラフィック(リファラル)の比率を算出している。

つまり、これは「どのAIが最も多くのユーザーをWebサイトに送っているか」を示す数字であり、AI自体の利用者数ではない。

Limitation

Q&Aで完結する使い方は計測されない。AIに質問して回答を読み、外部リンクをクリックしなかったユーザーは、この統計には一切反映されない。また、アプリ内ブラウザ経由の遷移がリファラルとして正しく記録されない場合がある。

IM社(インティメート・マージャー) — 「各AIサイトへのブラウザ訪問」

IM社は、自社のDMP(Data Management Platform)が保有する約10億件のオーディエンスデータを基に、各生成AIサービスのWebサイトを訪問したユニークブラウザ数(Cookie数)を集計している。対象は日本国内のインターネット利用端末で、調査期間中に383,132のIM-UIDが計測された。

Limitation

Cookieベースのため、アプリ利用は捕捉できない。ChatGPTアプリやGeminiアプリで利用しているユーザーは、この統計にほとんど反映されない。また、Cookie削除やブラウザのプライバシー設定により、同一人物が複数カウントされる、あるいは逆にカウントされない可能性がある。

MMD研究所 — 「アンケート:使ったことがあるか」

MMD研究所は、18歳〜69歳の男女1,000人を対象としたアンケート調査(2025年11月実施)で、「利用したことがある対話型生成AI」を複数回答で集計している。

Limitation

「1回だけ試した」も「毎日使っている」も同じ1票。利用頻度の重み付けがないため、「とりあえずアカウントを作って1回触った」というユーザーと、業務で毎日使い込んでいるユーザーが等しくカウントされる。Geminiが50.8%と高い数字を示すのは、Google検索やAndroid経由で「一度は触れたことがある」ユーザーが多いためと推察される。サンプル数1,000人という規模的な制約もある。

ICT総研 — 「アンケート:現在利用しているか」

ICT総研の調査(2026年2月実施)は、「現在利用している」生成AIサービスを問うている。MMD研究所の「利用したことがある」とは異なり、現時点でのアクティブ利用を問うているため、全体的に数字が低く出る。

Limitation

「利用している」の定義が回答者に委ねられている。週1回の利用を「使っている」と答える人もいれば、月1回でも「使っている」と答える人もいる。自己申告ベースのデータは、実際の利用行動との乖離が生じやすい。

同じWeb計測でも「方向」が違う — StatCounter vs IM社の謎

ここで特に注目すべきは、StatCounterとIM社の数字の食い違いだ。どちらもアンケートではなく実際のWeb上の行動データを計測しているのに、結果が大きく異なっている。

StatCounter IM社 差の方向
Gemini 17.7% 8.7% StatCounterが2倍高い
Perplexity 6.2% 13.8% IM社が2倍高い

この逆転現象の原因は、計測の「方向」が真逆だからだ。

  • StatCounterは「AI → 外部サイト」への送客を測っている(出口を見ている)
  • IM社は「ユーザー → AIサイト」への訪問を測っている(入口を見ている)

Geminiは Google検索と統合されているため、回答中に外部リンクを提示する頻度が高い。つまり「送客力」が強い。結果、StatCounterではシェアが高く出る。一方、GeminiユーザーはAndroidアプリ経由で利用する人が多く、WebブラウザでGeminiのサイトを訪問する人は相対的に少ない。そのためIM社のCookieベース計測ではシェアが低く出る。

Perplexityは逆の構造だ。Perplexityのユーザー層は技術者が多く(IM社の調査で「会社員(技術系)」の利用傾向が強いと報告されている)、Webブラウザで直接perplexity.aiにアクセスする傾向が強い。そのためIM社のCookie計測では高い数字が出る。一方、Perplexityは回答内で外部サイトへのリンクを提示するものの、ユーザーがそのリンクを踏む割合はGeminiほど高くないため、StatCounterでは低めに出る。

Key Insight

同じ「Web計測」でも、入口を見るか、出口を見るかで数字は逆転する。「AI検索シェア○%」という数字を見たら、まず「何の○%なのか」を確認する必要がある。

アプリの盲点 — Gemini 7.5億MAUの正体

ここまで紹介した4つの調査には、共通する大きな盲点がある。アプリ利用の捕捉が不十分だという点だ。

Google は2026年2月、Geminiアプリの月間アクティブユーザー(MAU)が7.5億人を突破したと発表した。一方、ChatGPTの週間アクティブユーザー(WAU)は約8億人とされている。グローバルで見れば、GeminiはChatGPTに肉薄しているのだ。

7.5億
GeminiアプリのMAU(月間アクティブユーザー)
Google 2025 Q4 決算発表, 2026年2月
~8億
ChatGPTのWAU(週間アクティブユーザー)
OpenAI, 2025年後半
61%
Gemini利用のうちモバイルデバイス経由の割合
Google公式発表, 2025

しかし、この数字にも注意が必要だ。

GeminiはAndroid端末にプリインストールされており、Google検索、Gmail、Googleドキュメントなどのエコシステム全体に統合されている。Android端末でGeminiアイコンをタップしただけでも「アクティブユーザー」としてカウントされる。7.5億MAUには、「意図的にGeminiを選んで使っている人」と「Androidに入っていたから触れた人」が混在している

同様の構造は他のサービスにも存在する。Perplexityはソフトバンクグループとのパートナーシップにより、ソフトバンク・ワイモバイル・LINEMOのユーザーに対してPerplexity Proを無料提供している(2024年6月〜2025年6月は1年間無料、2025年6月〜は6ヶ月間無料)。無料だからアカウントを作ったものの日常的には使っていない——というユーザーが一定数含まれている可能性は否定できない。ただし、具体的な「登録者数 vs アクティブ率」のデータは公開されていないため、その乖離の程度は不明である。

Key Insight

公式発表のMAU・ユーザー数は、プリインストールや無料配布を含む「最大値」である。「意図的に選ばれている数」はこれより確実に小さいが、その正確な数字は各社とも開示していない。

なぜアプリが「鬼門」なのか

WebベースのシェアデータでGeminiが過小評価される理由は明確だ。Geminiの利用の61%はモバイルデバイス経由であり、Android端末ではネイティブアプリとしてGeminiが動作する。この利用は、StatCounter(リファラル計測)にもIM社(Cookie計測)にも反映されにくい。

つまり、Webトラフィック系の調査は、アプリ中心のサービスを構造的に過小評価する。日本市場においてGeminiのWebトラフィックシェアが低く見える一因は、Androidアプリ経由の利用が統計に含まれていないことにある。

弊社の見解 — 「確からしい」指標とは

では結局、どの数字を信じればいいのか。弊社の見解を述べる。

まず前提として、完璧な単一指標は存在しない。どの調査にも固有のバイアスがあり、「これだけ見ておけばOK」という万能の数字はない。

その上で、ビジネスへの影響度を測る指標としては、StatCounterの送客データが最も実用的だと弊社では考えている。その理由は以下の通りだ。

  1. 「行動の結果」を測っている — アンケートの自己申告でも、サイト訪問の意図でもなく、「AIが実際にユーザーを企業のWebサイトに送った」という行動の結果を計測している。企業にとって重要なのは「AIが使われているか」ではなく、「AIが自社にトラフィックをもたらしているか」である。
  2. 計測対象が広い — 月間50億ページビュー以上、150万以上のWebサイトのデータを基にしており、サンプルの偏りが相対的に小さい。
  3. 継続的に更新される — 月次で最新データが公開されるため、トレンドの変化を追跡しやすい。

ただし、StatCounterにも限界がある。前述の通り、「Q&Aで完結する利用」と「アプリ経由の利用」は計測されない。特にGeminiのシェアは、アプリ利用分が反映されていないため、実態よりも低く出ている可能性が高い。

この補正のために、IM社のブラウザ訪問データを参照する。StatCounterが「出口」(AIから外部へ)を見ているのに対し、IM社は「入口」(ユーザーからAIへ)を見ている。両方を突き合わせることで、片方だけでは見えないバイアスを検出できる。

さらに、アンケート調査(MMD研究所・ICT総研)は、利用者の属性情報や利用目的など、トラフィックデータでは分からない定性的な情報を補完する役割がある。

LIFE's View

弊社では、日本国内のAI検索の「ビジネスインパクト」を評価する際、以下の優先順位でデータを参照している。

1. StatCounter(送客データ)を基軸とする — 企業への直接的なトラフィック影響を反映
2. IM社(ブラウザ訪問データ)で方向の偏りを補正する — 入口と出口の両面から検証
3. アンケート調査で利用者像を補完する — 誰が、なぜ使っているかを理解する
4. 公式MAUは「天井値」として参照する — 最大値の把握にのみ使用

この組み合わせによる弊社の現時点の見立ては、日本国内の実質的なAI検索影響力は、ChatGPTが60〜70%、Geminiが15〜20%(アプリ含むと更に大きい可能性あり)、Perplexityが5〜10%、Copilotが5〜10%程度である。ただし、Geminiの伸び率が全エンジン中最大であり、この比率は数ヶ月単位で変動し得る。

まとめ — 数字を読む側のリテラシーが問われる時代

AI検索のシェアデータは、今後ますます増えていくだろう。そのとき重要なのは、「その数字は何を測った結果なのか」を必ず確認することだ。

本稿で示した通り、同じ「日本国内のAI検索シェア」でも、計測手法によって数字は36%にも80%にもなる。どちらも嘘ではないが、どちらも真実の全体像でもない。

整理すると、以下の4点を押さえておけば、シェアデータに振り回されることはなくなる。

  1. 「何を測っているか」を確認する — Webトラフィックか、送客量か、アンケートか、公式発表か
  2. アプリ利用が含まれているかを確認する — 特にGeminiはアプリ比率が高く、Web計測では過小評価されやすい
  3. 「利用経験率」と「現在の利用率」を区別する — 「一度使った」と「毎日使っている」は全く違う
  4. 複数のデータソースを突き合わせる — 1つの調査だけで判断せず、異なる手法のデータを組み合わせてバイアスを検出する

AI検索の勢力図は、2026年現在もなお急速に変化している。Geminiのグローバルシェアは1年で5.7%から21.5%へと約4倍に成長した。日本国内でも同様の変化が起きている可能性は高い。

重要なのは、シェアの数字そのものではなく、「どのAIが、自社のビジネスにどれだけの影響を与えているか」を正しく把握することだ。ChatGPTやGeminiへの対策(LLMO)やGoogle AI Overviewsへの対策(AIO)など、エンジンごとに異なるアプローチが必要になる。そのためには、1つの調査結果を鵜呑みにするのではなく、複数のデータを構造的に読み解くリテラシーが不可欠である。

弊社では、主要AI検索エンジンにおける貴社の出現状況を定点観測し、エンジン別の最適化戦略を構築するサービスを提供している。「自社はどのAIでどう表示されているのか」を把握したい方は、まずは無料相談からお声がけいただきたい。

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