01LLMOはSEOの延長線上にあるのか
2026年6月、海外のGEO系ベンダー CiteLens が「ChatGPTが引用したURLはGoogle検索TOP10にほとんど入っていない」というトルコ市場の調査を発表した(Google AI Mode 93%、Perplexity 89%、Claude 53%が引用元をGoogle上位から拾っているのに対し、ChatGPTだけ30%と大きく下に外れていた、という内容)。海外の複数のマーケティング系メディア(MartechSeries、EIN Presswire など)がこの結果を取り上げ、ChatGPTを「Black Box」「Google が並べる Web とは違う Web を引用している」と評した。
ChatGPTの引用挙動が他エンジンと違うこと自体は、弊社もこれまでの観測で何度か書いてきた(例:ChatGPTとGeminiで推薦が違う理由では「ChatGPTの引用URLが英語サイトに強く偏る」「引用数が他エンジンより少なく深い」と報告している)。クライアントワークでも、ChatGPT向けの施策は他エンジンと切り分けて設計することが多く、ChatGPTのGEO対策は独特だ、というのは実務での共通認識でもある。
そこで今回、CiteLensの調査を日本語市場でも検証してみた。同じ日本語の質問をChatGPT・Gemini・Perplexity・AIOに投げ、それぞれが引用したドメインが、同じ質問のGoogle/Bing検索順位のどこに載っているかを直接照らし合わせた。結論から書くと、ChatGPTだけがSEO順位から明らかに離れていた。しかも日本語市場では、海外よりさらに相関が薄い。以下、数字で示していく。
02何を測ったか
比較の枠組みは単純である。各AIエンジンが回答内で引用したドメインを取り出し、そのドメインが同じ質問クエリでのGoogle/Bing検索結果に含まれているかを、ドメイン単位で照合した。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象AIエンジン | ChatGPT / Gemini / Perplexity / Google AI Overviews(AIO) |
| 質問クエリ数 | 日本語 85問 |
| クエリの性質 | 複数業種(比較・推薦・Q&A系の実クエリを含む) |
| 測定期間 | 2026年7月上旬〜中旬 |
| 引用ドメインの母集団 | ユニーク(AIエンジン × 質問 × ドメイン)3,354件 |
| 照合対象 | 各質問クエリでのGoogle検索1〜2ページ目 / Bing検索1〜2ページ目 |
| 照合単位 | ドメイン単位(サブディレクトリは無視) |
Googleは1ページ目・2ページ目を合わせておおむね上位19位相当、Bingは同じくおおむね上位13位相当となる。両者ともサジェスト系のパネルやAI Overviews自身の枠は照合対象から除外し、通常のオーガニック検索結果に限定した。
03結果1 ── Google上位入り率で3倍近い差
まずGoogle検索の1〜2ページ目に対する上位入り率を見る。
| AIエンジン | 引用ペア数 | Google 1〜2P到達 | 到達率 |
|---|---|---|---|
| AIO | 697 | 344 | 49.4% |
| Perplexity | 1,120 | 538 | 48.0% |
| Gemini | 611 | 279 | 45.7% |
| ChatGPT | 926 | 184 | 19.9% |
ChatGPTだけが約2〜2.5倍低い水準で外れている。
他の3エンジン(AIO・Perplexity・Gemini)は45〜49%と3〜4ポイントの範囲に固まっているのに対し、ChatGPTだけが19.9%と、そのグループから25〜30ポイント離れて位置している。「一定のばらつき」ではなく、明確な段差である。
言い方を変えると、AIO・Perplexity・Geminiが引用したドメインは約半数がGoogle検索の2ページ以内に載っているのに対し、ChatGPTが引用したドメインは約8割がGoogle検索の2ページ以内には出てこない。同じ質問を投げても、ChatGPTだけが「Googleが目立たせていないドメイン」を大量に拾い上げている構造になっている。
04結果2 ── Bingでも同じ傾向
次に、ChatGPTが接続していると言われるBing検索側との照合結果を確認する。
| AIエンジン | 引用ペア数 | Bing 1〜2P到達 | 到達率 |
|---|---|---|---|
| Perplexity | 1,120 | 363 | 32.4% |
| AIO | 697 | 197 | 28.3% |
| Gemini | 611 | 153 | 25.0% |
| ChatGPT | 926 | 127 | 13.7% |
Bingでも順序と構造はGoogleと同じである。3エンジン(Perplexity・AIO・Gemini)が25〜32%のレンジに収まる中で、ChatGPTだけが13.7%と半分近い水準で下に外れている。
ここは弊社にとっても意外な結果だった。ChatGPTのWeb Browsing機能はBing検索を使っている、という解説を目にすることがあるが、少なくとも今回の日本語データでは、ChatGPTが引用したドメインの86%はBing検索の2ページ以内にも出てこなかった。「ChatGPTはBingのTOP5〜10あたりをソースにしている」という海外の定性的な解説(First Page Sage)が日本語市場でどこまで当てはまるかは、少なくともこの数字だけでは怪しい。
05海外調査より、日本の方がさらに相関が薄い
ここが今回の一番の発見だ。冒頭で紹介したCiteLens(トルコ市場)の結果と、今回の日本語データを並べてみる。
| 調査 | 市場・言語 | ChatGPT | 他エンジン | 比較対象 |
|---|---|---|---|---|
| CiteLens(2026年6月) | トルコ・トルコ語 | 30% | AI Mode 93% / Perplexity 89% / Claude 53% | Google TOP10 |
| 本調査(LIFE) | 日本・日本語 | 19.9% | AIO 49.4% / Perplexity 48.0% / Gemini 45.7% | Google 1〜2P(約TOP19) |
ここで注意したいのが照合範囲である。本調査の方が、CiteLensより広い範囲を照合している(TOP10 vs 約TOP19)。範囲を広げれば到達率は上がる方向に働くはずである。それでも本調査のChatGPTは19.9%と、CiteLensの30%を下回った。同じ土俵(TOP10)で切り直せば、この数字はさらに下がることになる。
つまり日本語市場では、海外(トルコ語)よりさらにChatGPTとSEO順位の相関が薄い。
「GEOはSEOの延長線上か」という議論は今も続いている。少なくともChatGPTを見る限り、その延長線上で捉えるのは無理がある。「SEOで上位を取れば自動的にChatGPTに引用される」という前提でGEOを設計しても、日本語市場ではその前提が8割方外れる、というのが今回のデータから言える一番強い事実だ。
06まとめ
- AIO・Perplexity・Geminiの3エンジンは、引用ドメインの半数近くがGoogle検索1〜2ページ以内に載っている。SEOで上位を取っているドメインは、この3エンジンには引用されやすい。
- ChatGPTだけがGoogle上位入り率19.9%と、他エンジンから2〜2.5倍離れて位置している。Bingでも同じ構造である。
- 照合範囲を広げても本調査の値は海外調査(CiteLens)を下回った。日本語市場では海外よりさらにChatGPTとSEO順位の相関が薄い。
- 「GEOはSEOの延長線上」で片づけるのは、少なくともChatGPTに関しては無理がある。
07手法の補足
本調査の再現性のため、集計方法の要点を記載する。
- AI引用ドメインの取得 ── 弊社の定点観測基盤 GEO AIO TRACKER で日本語質問クエリを4エンジンに投入し、回答本文と引用URLを収集した。URLはドメイン単位に正規化した。
- SEO順位の取得 ── 同じ質問クエリで、GoogleおよびBingの検索結果1〜2ページ目のオーガニック結果を取得した。AI Overviewsパネルやサジェスト系パネル、動画パネル等の特殊枠は照合対象から除外した。
- 照合単位 ── ドメイン単位(サブドメインは統合、URLパスは無視)。同じドメインが検索結果内に複数回登場していても、上位入り「あり」として1回カウントした。
- 分母の定義 ── エンジンごとに(質問クエリ × 引用ドメイン)のユニークペア数を集計し、そのうち何ペアが同一クエリの検索1〜2ページ目に到達したかを算出した。